国際保健医療
Online ISSN : 2436-7559
Print ISSN : 0917-6543
原著
タイ王国母子健康手帳が母親の母子健康向上に信念・行動に与える効果
相原 洋子Sirikul ISARANURUGSutham NANTHAMONGKOLCHAINipunporn VORAMONGKOL
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2006 年 21 巻 2 号 p. 123-127

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抄録

タイ王国では母子保健活動のひとつとして、母子健康手帳をおよそ20年間活用している。本研究は、母子健康手帳の利用状況の評価および手帳の母親の母子健康増進に対する信念・行動への影響を分析することを目的とし、タイ王国カンチャナブリ県において3~4歳児をもつ、224名の母親を対象に2005年1月~2月にかけてインタビューを行った。母子健康手帳の利用状況結果は、手帳の読み(全パートの読み率:14.3%)および自己記録率(全パートの記録率:0.9%)の低さが目立った。重回帰分析結果、母子健康手帳の利用度は母親の信念・行動の両方において関連することがわかった(p=0.001:信念、p=0.039:行動)。その他の関連因子は、信念においては母親の年齢、通学年数、給与、行動は婚姻状況、年齢および職業であることがわかった。本研究の結果より、母親の母子保健に対する信念と行動を喚起するためには、母子健康手帳の活用と包括的なアセスメントが重要である。

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© 2006 日本国際保健医療学会
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