2006 年 21 巻 3 号 p. 201-209
目的:本調査は、ビエンチャン市に暮らす学齢期の脳性まひ児について、その生活や介護の様子を記述することを目的とした。特に児を取り巻くコミュニティーのあり方について検討することを重点に置いた。
方法:ビエンチャン市に住む学齢期の脳性まひ児で、特に日常生活動作全般にわたり介助の必要な者20名とその家族を対象に家庭訪問とインタビューを行い、うち15名について分析を行った。更に、そのうち2名について5日間ずつのケーススタディ観察を行い、日常生活や関与者を記録した。
結果:多くの児で日常的な公的サービスの利用はなく、家族が介護の全般を担っていた。児の活動圏は家の周りに限られていたが、親戚や地域の人々による児の生活への関与は大人も子供も非常に大きく、児が1人になる時間はほとんどない事が明らかになった。
考察:福祉サービスが未発達なビエンチャン市であるが、今後地域を基盤とした障害児ケアのあり方を考える際、住民による子供の見守りに関する既存のネットワークは非常に有意義であると思われた。