抄録
目的
本研究は、日本人看護学生に、国際保健看護教育科目を開講する妥当な時期を検討することを目的とした。
方法
国際保健看護教育科目を初めて受講した日本人看護学生にアンケート調査と定期試験を行った。そのアンケート調査は、国際保健看護教育科目の講義を受講した学生のうち、同意を得られた学生を対象に1回目の講義時と最終講義時の2回、無記名自記式質問票を用いて実施した。また、最終講義終了後1週間以内に国際保健看護教育科目の定期試験を実施した。1回目のアンケート調査の分析対象者は127名(3年次生70名、4年次生57名)、2回目のアンケート調査の分析対象者は96名(3年次生52名、4年次生44名)で、定期試験を受けた学生は、137名(3年次生78名、4年次生59名)であった。
結果
4年次生は、3年次生よりも自己評価による国際保健看護教育科目の学習理解度や定期試験による成績評価が有意に高かった(それぞれP < 0.001)。海外旅行経験は、自己評価による学習理解度と関係し、3年次生よりも4年次生に経験者が有意に多かった(P < 0.001)。交絡因子である海外旅行経験を調整した後も、4年次生の自己評価による成績評価は、3年次生よりも有意に高かった。開発途上国の保健医療問題では、共通オッズ比(95%信頼区間)は、249.26 (35.56-1747.31)、疾患の理解では、共通オッズ比(95%信頼区間)は、71.91(14.77-350.17)であった。
結論
国際保健看護教育科目は、4年次で開講することにより、学習効果はより高まる可能性が示唆された。