国際保健医療
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Print ISSN : 0917-6543
研究報告
大学病院と総合病院における外国人患者対応研修に関する看護師のニーズおよび参加意欲
上林 千佳近藤 暁子小泉 麻美二見 茜
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2020 年 35 巻 1 号 p. 27-38

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抄録

目的

  看護師の外国人患者対応研修に関するニーズおよび参加意欲とその関連要因を明らかにすることを目的とする。

方法

  都内の1つの大学病院と1つの総合病院に勤務している看護師全員を対象にGoogleフォームを使用して質問調査を実施した。ニーズ、参加意欲のある研修内容については記述統計で集計し、関連要因はFisherの直接法、t検定、Mann-Whitney U検定、Spearmanの相関係数を使用して分析した。

結果

  大学病院から98名(回収率11.3%)、総合病院から40名(回収率11.4%)、合計138名から回答があり(回収率11.3%)、全回答を分析対象とした。大学病院の方が学士課程を卒業した看護師が多く、主観的英語能力が高かった。外国人の看護にストレスや不安を感じるかは、「非常に感じる」と「感じる」を合わせて59.7%であり、研修が「必要だと思う」は77.5%であった。

  参加意欲のある研修内容は「語学研修」が最も多く、次いで「異文化・宗教への対応」であった。希望する語学研修の内容は、「一般的なコミュニケーション」が最も多く、続いて「専門的な言語」であった。参加したいと思う言語は、英語が最も多く、次いで中国語であった。研修への参加意欲は「予定を合わせて参加したい」は24.6%、「予定が合えば参加したい」は59.4%であった。研修の形式は「講義・演習の組み合わせ」、研修場所は「病院の講義室」の希望が最も多かった。

  研修へのニーズは英語が全く話せないと回答した対象者(z=−2.352、p=0.019)、外国人対応能力を上げたいと思っている対象者(ρ=0.473、p<0.001)、外国人患者の看護にストレス/不安を感じている対象者が(ρ=0.280、p=0.001)より高く感じていた。また、研修への参加意欲は、現在外国語を定期的に学習している対象者の方が、していない対象よりも高かった。学位・経験年数とニーズ及び参加意欲との関連は見られなかった。

結論

  外国人患者対応研修に関するニーズとして最も高かったのは英語による一般的なコミュニケーションであった。研修への参加意欲は「予定が合えば参加したい」が最も多く、研修の参加数を確保するためには業務時間内での実施、院内での開催など参加しやすい環境を整備計画する必要があると考えられる。

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© 2020 日本国際保健医療学会
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