国際保健医療
Online ISSN : 2436-7559
Print ISSN : 0917-6543
原著
在留ベトナム人技能実習生の医療受診における困難
堀本 知春上杉 裕子
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2022 年 37 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

目的

  我が国では入国管理法の改定等により在留ベトナム人技能実習生が年々増加しているが、彼らの健康課題や医療受診に焦点を当てた研究は少ない。本研究の目的は在留ベトナム人技能実習生の来日後の医療受診における困難を明らかにすることとした。

方法

  関西圏に在住するベトナム人技能実習生12人〔男性8人(66.6%)、女性4人(33.4%):平均年齢26.3歳、平均滞在期間:2年3か月〕に来日後の医療受診における困難について半構造化インタビューを実施し、質的記述的に分析を行った。

結果および考察

  受診における困難として、『症状が悪くなってからでないと受診しない』、『会社や監理団体のサポートがないと受診ができない』、『疑問や不満があっても確かめることができない』、『仕事や同行者の都合を優先させ受診を控えてしまう』という4つのカテゴリーが得られた。ベトナム人技能実習生にとって職場や監理団体による医療受診時のサポートは、日本で医療サービスを受けるために重要な存在であった。また、『疑問や不満があっても確かめることができない』ことから医療従事者は彼らが医療機関を受診した際に、職場や監理団体の職員に説明を行うだけではなく、彼ら自身に疑問がないかを聞くなど積極的に関わっていく必要がある。

結論

  在留ベトナム人技能実習生の医療受診において、所属する職場や監理団体の支援が彼らの医療サービスを受ける際の重要な役割を果たしていた。今後は、それらの支援のみならず産業保健分野や地域医療機関との連携も必要である。

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© 2022 日本国際保健医療学会
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