国際保健医療
Online ISSN : 2436-7559
Print ISSN : 0917-6543
原著
在宅で療養する在留外国人へのケア提供時に訪問看護師が抱える困難と対応
山口 裕子松尾 博哉
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2024 年 39 巻 3 号 p. 61-72

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抄録

目的

  在留外国人は近年増加の一途を辿っており、今後在宅にて外国人への看護を提供する機会が増えることが予想される。本研究は、在宅で療養する在留外国人へのケア提供時に訪問看護師が抱える困難や対応について質的記述的に明らかにすることを目的とした。

方法

  在留外国人に訪問看護サービスを提供した経験を有する訪問看護師を対象に半構造化面接を実施し質的記述的に分析した。

結果

  研究参加者14名の年齢は40代~70代、全員が女性であった。訪問看護師としての経験年数は3~25年であった。分析の結果、困難について9カテゴリ、対応について7カテゴリが抽出され、訪問看護師は言語の壁により対応に困難を感じながらも非言語的コミュニケーションを用いながら簡潔に説明していたこと、宗教や風習の違いによる困難性に対し利用者の意向に沿った対応を行っていたことが明らかとなった。また、医療・介護保険制度に関する説明の困難性からサービス提供が上手くいかないこともあり、それに対して利用者と母国が同じ人々のコミュニティや他職種・他機関からの情報を取り入れながら対応を工夫していた。さらに、生活困窮を抱えている利用者や周囲の支援がない利用者やその家族に対して、生活面での支援や孤立させないような心理的支援を行っていた。

結論

  訪問看護師は、在留外国人へのケア提供時に言語の壁や宗教や風習の違い、医療・介護保険制度の複雑性、生活・精神的な側面で困難を感じていた。また、利用者や家族の思いに沿った対応ができるよう工夫していた。本研究は、今後訪問看護師が在留外国人へ有効なケア提供行うための一助となる。

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© 2024 日本国際保健医療学会
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