注意喚起のため、チャイムのある場合とない場合で聴覚失認者の反応に違いがあるのだろうか。そのことを確かめるために、「小説の朗読」で新しく作った言語音課題と「視覚刺激と一桁の暗算」の視聴覚実験をチャイムのないことを除いては三谷(2019, 2021)と同じ条件で行った。結果を以前に実施したチャイムのある場合の結果と比べると、チャイムの有無で非障害者と中・重度障害者に有意な差が認められた。チャイムのある非障害者の最低スコアー以上であれば内容を理解できると仮定すると、チャイムがない言語音では軽度障害者と中・重度障害者のおよそ25%が理解できた。さらにチャイムがあれば軽度障害者の50%以上、中・重度障害者の25%以上が理解できた。チャイムがあることによってより多くの聴覚失認者が言語的意味を理解できることが確認できた。