抄録
本論では,大学院理科系実験室とボクシングジムにおける特定の文脈において,ひとつひとつの指示がどのように新参者に示され理解されているか,またそれを通じて,全体としてのインストラクションという活動がどのように組織化されているかを微視的に分析する.その際,(1)会話シークエンス分析(Heritage&Atkinson,1984;Heritage,1984),(2)その場の言語,非言語,モノの使用というマルチモダルなリソースの並置(Goodwin,2006,2007など),さらに,(3)会話参加者による「共同注意」(「joint attention」,Goodwin,2006,2007など)という3つの観点から検討していく.