日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成29年度大会(一社)日本調理科学会
セッションID: 2P-25
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ポスター発表
デジタル塩分計による減塩しょうゆの塩分測定
小西 大喜*綾部 園子*長井 佑子阿部 雅子神戸 美恵子
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抄録

【目的】健康維持増進のために減塩が注目されている。汁物の塩分摂取については簡易なデジタル塩分計を用いて指導することが多い。デジタル塩分計は電気伝導度法によるものと、Naイオン電極を用いたものがあり、電気伝導法ではカリウム等のイオンや測定温度の影響を受ける。また、汁物は対象者によっては減塩醤油やとろみ調整食品を用いて提供される場合もある。そこで、減塩醤油ととろみ調整食品を用いた汁の塩分濃度をデジタル塩分計で測定し、効果的な使用方法を明らかにすることを目的とした。
【方法】デジタル塩分計は、電気伝導度法3機種、Naイオン電極法1機種を用い、無機質の測定は原子吸光度法によった。まずNaCl、KCl、MgCl2溶液を測定し、精度を確認した。濃口醤油、減塩醤油2種およびNaCl溶液と、それにとろみ調整食品2種を添加した溶液について、20~80℃の範囲で塩分濃度を測定した。減塩醤油は0.8%濃度の濃口醤油添加量と同重量、とろみ調整食品はヨーグルト状の添加量とし、攪拌後30分放置して測定した。
【結果】KClとMgCl2溶液に対し、電気伝導度法では等モルのNaClに相当する塩分濃度を示し、Naイオン電極法では反応しなかった。2種の減塩醤油のうち、減塩Aはイオン電極で0.4%、電気伝導度法で0.45~0.5%であり、Naを減じ他の塩類をわずかに添加した製品と考えられた。一方減塩Bはイオン電極で0.32~0.4%、電気伝導度法で0.8~0.9%を示しKCl等で塩味を補っていると考えられた。とろみ調整食品を添加した場合は、キサンタンガム系の製品では無添加と差が少なく、デキストリン系の製品で全般的に数値が高くなった。減塩醤油やとろみ調整食品の測定に関してはこれらの影響を考慮する必要がある。

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