社会言語科学
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難解用語の言語問題への具体的対応 : 「外来語」と「病院の言葉」を分かりやすくする提案(<特集>日本社会の変容と言語問題)
田中 牧郎相澤 正夫
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2010 年 13 巻 1 号 p. 95-108

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抄録
新しい外来語や医療用語に代表されるように,一般になじみの薄い難解な用語が濫用され,国民一般の情報伝達に支障が生じている.現代社会のかかえる深刻な言語問題として,適切な対応が求められている.本論文では,このような難解用語の言語問題への具体的対応の事例として,筆者らが実践した「『外来語』言い換え提案」と「『病院の言葉』を分かりやすくする提案」を取り上げ,その活動の過程を報告する.提案に至るまでの活動には大きく(1)実態把握と(2)対応策検討の二つの段階があった. (1)では世論調査方式による意識調査,コーパスによる用語調査,ウェブ上での専門家へのアンケート調査など多角的な調査研究を実施し,問題の在りかを究明した. (2)では検討のための専門委員会を設置し,語別に分かりやすい言い換えや説明の方法を審議・案出するとともに,その工夫を類型化して応用の効く指針とした.総じて,二つの提案は役所や病院における問題の改善に有効であったと認められ,筆者らの試みが広く応用できる見通しも得られた.
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© 2010 社会言語科学会
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