社会言語科学
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社会参加のための情報保障と「わかりやすい日本語」 : 外国人,ろう者・難聴者,知的障害者への情報保障の個別課題と共通性(<特集>ウエルフェア・リングイスティクスにつながる実践的言語・コミュニケーション研究)
松尾 慎菊池 哲佳モリス J.F松崎 丈打浪(古賀) 文子あべ やすし岩田 一成布尾 勝一郎高嶋 由布子岡 典栄手島 利恵森本 郁代
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2013 年 16 巻 1 号 p. 22-38

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抄録
本論文は,外国人,ろう者・難聴者,知的障害者など,誰もが社会参加ができるために必要不可欠な条件である「情報保障」の考え方を紹介します.また,今後情報保障を進めていくための課題や枠組みを提示します.本論文では,情報保障の範囲を「震災」などの非常時だけに特化せず,平時における対応も含めます.情報保障の基本は,「情報のかたちを人にあわせる」「格差/差別をなくす」ことと,「情報の発信を保障する3ことです.本論文では,まずこうした基本的な観点を紹介します.特に,情報の格差/差別をなくすという課題にはどのようなものがあり,それを解決するためには,どのような手段があるのかについて述べます.さらに,情報保障が,情報へのアクセスだけでなく,情報発信の保障をも含む考え方であることを指摘します.その上で,これまで個別に扱われてきた外国人,ろう者・難聴者,知的障害者の情報保障の問題について,個別の課題とともに,共通性としての「情報のユニバーサルデザイン化」の必要性を指摘します.そして,その一つの方法として「わかりやすい日本語」の例を挙げ,今後の情報保障のあり方について議論します.
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© 2013 社会言語科学会
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