本稿では,海外生活により第二言語(英語)を習得した6名の児童(3組の兄弟姉妹)を対象とし,帰国後のリテラシー能力の保持状況を調査した.先行研究によりこうした児童の第二言語能力は急速に失われることが明らかになっており,渡航時の年齢要因や海外在住期間といった個人的要因が議論の対象となってきた.一方で,子どもたちを取り巻く社会的要因については精査されることがなかった.本研究では子どもたちの第二言語による物語構成能力の保持及び伸長は,彼らが日常的に行うリテラシー活動や,第二言語を用いた友好関係の維持,及びそれを支援する家庭環境と密接に結びついていることが示唆された.