カーレースの実況放送では,アナウンサーと解説者は画面内の絶えず変化する状況から実況すべき出来事を選び出し,言語化(実況)する必要に直面する.本稿では,カーレースの実況放送の録画をデータとし,詳細に分析することで,アナウンサーと解説者が「あっ」や「おっと」といった間投詞を,出来事を瞬時に選び出す手続きとして用いていることを示す.そして間投詞に後続して発せられるアナウンサーと解説者の発話の構造的な違いを分析し,両者がいかにそれぞれの異なる役割に志向するか,いかに出来事の実況を相互行為的に形づくるかを記述する.