2016 年 18 巻 2 号 p. 53-69
本研究では,談話レベルでの会話データを分析対象とした研究の総称を「会話データ分析」と呼び,学会誌『社会言語科学』に掲載されている会話データ分析について,(1)論文数,(2)分析の観点,(3)分析データ場面(母語場面,接触場面,両場面),(4)分析項目,(5)分析データの種類(自然談話,メディア,実験,作例,携帯メール・SNS),(6)研究成果の活用法という6点から年代別に動向を分析した.その結果,会話データ分析論文の割合が増加し,その中でも「言語・非言語」の分析の観点を持ち,「母語場面」「自然談話」の会話データ分析が多い傾向にあることが明らかになった.さらに,会話データ分析の研究成果の活用法としては,「研究成果の積み上げ」と「実践現場への還元」という2種類がみいだされた.このように,「会話データ分析」というより包括的な枠組みで会話データ分析論文の特徴を分析することで,多様な研究分野で会話データ分析が行われていることが分かった.こうした結果をふまえ,今後,ウェルフェア・リングイスティクスの理念のもと,トランスディシプリナリーな多分野間の連携を推し進めていくために必要なことについて考察する.