2019 年 22 巻 1 号 p. 61-76
外国人住民にとって日本語の書き言葉は理解が難しいものであるが,具体的な問題や対応策等,まだ十分議論されているとは言えない.本論では,書き言葉使用の問題をより実態に即して考えるために,実践的リテラシー研究と言語管理理論に基づき,次の枠組みを掲げる.社会的実践としての書き言葉使用,領域,問題を調整しようとする主体,イデオロギー/インタレスト,言語環境,接触場面とリテラシー・イベント,ネットワークと仲介者,管理プロセスと調整方法.それらの概念を基に,筆者が実施した言語生活調査に現れた問題を提示し,さらに,多文化共生施策において書き言葉使用がどのように扱われているかを考察する.