2022 年 25 巻 1 号 p. 126-133
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い,情報の獲得が困難な外国人住民への支援が求められている.しかし,中でも周縁化されがちな母親という存在については十分に取り上げられていない.本稿は外国人の母親を支える地域の取り組みに注目し,大阪府豊中市にて外国人住民への支援を幅広く展開している国際交流協会を事例に,コロナ禍における支援の現状と課題を探った.当協会の報告書や支援を担当する職員への聞き取り調査から,緊急事態宣言下で活動が制限されるなか,地域の公園やオンライン会議システムを利用して活動を継続したり,多言語での支援体制の拡充を行ったりと,外国人住民のニーズに応じて情報提供や支援が行われていることが明らかになった.一方で,オンライン会議システムによってコミュニケーションのあり方が変化することで,雑談から生まれるような気づき,そこから相談へと発展するような悩みは表面化されにくくなっていることが示唆された.