社会言語科学
Online ISSN : 2189-7239
Print ISSN : 1344-3909
ISSN-L : 1344-3909
「敬語表現」と「ポライトネス」 : 日本語研究の立場から(<特集>言語の対人関係機能と敬語)
川口 義一蒲谷 宏坂本 恵
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 5 巻 1 号 p. 21-27

詳細
抄録
本論は,筆者グループの敬語表現研究を紹介し,その研究成果からB&L(Brown & Levinson(1987))の「ポライトネス」理論およびそれに依拠した諸研究に対してコメントしたものである.コメントのポイントは次の3点である.1.ポライトネス研究は,ディスコース・レベルのポライトネスを志向するものであるべきである.現在のB&Lは文レベルのポライトネスの分析に止まっている.2.ポジティブ・ポライトネスとネガティブ・ポライトネスが共存する表現が存在する.ポライトネスの普遍理論は,この現象を説明できるようでなければならない.3.個別言語の「配慮」表現の記述は,異なる文化的背景を持つ言語のそれと共通の枠組みを持つべきである.個別言語の文化的特徴を強調しすぎるのはポライトネス研究の深化にとって生産的でない.
著者関連情報
© 2002 社会言語科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top