抄録
本研究では「ら抜き言葉」を例として取り上げ,言語使用における男女間の意識と行動,両方に対する相違の有無を明らかにすることを目指した.その結果,4コマ漫画を用いた言語行動調査では,「-ラレル」型は男性の方が女性より,「-レル」型は女性の方が男性より使用率が高かった.一方,SD法を用いた言語意識調査で注目すべきこととして,女性は〈男らしい-女らしい〉という尺度に対しては「食べれる」の方を〈男らしい〉表現として捉えていることが分かった.しかし実際の言語行動においては,男性よりも女性に「-レル」型の使用率が高くなっていること,特に4コマ漫画の女性登場人物のセリフの時に男性より女性の方が積極的に「-レル」型を使っていることから,男女間の言語意識と言語行動には,若干のずれが確認できた.