社会言語科学
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携帯メールにおける文字表記の特徴とその影響
笹原 宏之
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2002 年 5 巻 1 号 p. 105-116

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抄録
近年,若年層を中心に急速に普及した携帯電話を用いたメールには,文字を用いた表記の面で様々な特徴が表れている.パーソナルメディアにおけるそれらの事象は,漢字表記の増加と新たな短縮化の発生,送り仮名の省略,誤入力の発生する傾向の変化,平仮名表記の増加,片仮名表記の短縮化,数字表記の漢数字化などの各面で確認できる.それらの文字表記は,入力環境や機材,変換ソフト,字数制限,個人間授受などの諸要因が作用し,時に複合しあうことによって発生した携帯メールという位相に特徴的なものとしてとらえることができる.さらに,携帯メールにおける文字表記は,特定のメディアという枠を超えて,個人の使用字に漢字字体の間引き化をもたらす一方で,漢字表記の学習に影響を及ぼし始めていることが確認され,文字生活の大きな変化として位置づけることが可能である.
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© 2002 社会言語科学会
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