本稿は,学校管理下の多様なリスクに注目し,その低減の道筋を示す。リスクは理論上無限である一方,それを低減するためのリソースは常に有限であり,学校はどのリスクに優先的に対応するかを選択せざるを得ない。
リスクが可視化されると,人びとはしばしば当の活動のプラス面を強調する「魅惑モデル」を採用するものの,これは実際のリスク低減には結びつかない。本稿では「魅惑モデル」に代わり,リスクに正面から向き合い,計画的に縮減していくことで,誰もが安心・安全を享受できる環境を目指す「持続可能モデル」を提起する。
教員の長時間労働は,1971 年の「給特法」により労働時間と賃金の関係が切り離され,時間管理の弱体化を招いてきた。また,制度設計が不備なままに展開されてきた部活動は,教員の業務負担を増大させるだけでなく,生徒を熱中症などのリスクにもさらしている。こうして日本社会は,学校内部の見えない労働に依存する「学校依存社会」と化しており,その構造を認識し是正することが,持続可能で安全な学校を築くうえで不可欠である。