四国中央部,汗見川流域の三波川変成帯の緑泥石帯から採取した泥質片岩試料に産する,含水Ca-Al珪酸塩鉱物についての産状と化学組成を報告し,相関係について議論する.含水Ca-Al珪酸塩鉱物のなかで緑簾石は普遍的にみられ,ローソン石,パンペリー石は散点的に出現する.分析した中の一試料からはこれら三種の鉱物の共存を見出した.また,パンペリー石とローソン石の出現域の上限はヘマタイトを持たない塩基性片岩中のパンペリー石の消滅域とほぼ一致する.観察された鉱物組み合わせ等に基づき,緑泥石帯におけるパンペリー石,ローソン石の出現,消滅を石墨,方解石,石英および,曹長石過剰のもとでの混合流体反応で説明する.