抄録
適当な粘土鉱物や物質を混合することにより、汚染土壌から重金属元素の流出を防ぐという対策が取られている。しかしながら、その基本的な機構はあまり解明されていない。長期的な重金属元素の不溶化、固定化のためには、この反応機構の解明が不可欠である。そこで我々はモデル実験として、鉛(Pb)で汚染されたマサ土に(株)アステックで実施されている土壌改良(シーリングソイル工法®)を施し、2年間実環境に放置した土壌の分析を行った。
試料はマサ土にPbを約0.2wt%加え、その後アロフェン性土壌などをある割合で混合したものである。
EPMAを用いてPbの特性X線像を測定したところ、Pbの濃集した部分が、低密度で観察された。この部分のSEM像では、数μmの粒子が観察され、この粒子のEDS分析では、Siを主成分として、Mg, Al, Pb, K, Ca, Mn, Fe等が検出された。このようにPbは新しく形成した珪酸塩鉱物に濃集した可能性が高く、現在この珪酸塩鉱物の詳細な解析を進めている。