抄録
東松浦玄武岩は世界で唯一希土類鉱物が報告されている玄武岩である。本研究では東松浦玄武岩中の希土類鉱物の広域的な産状調査およびそれらの鉱物学的検討を行っおり,ここでは広域的に分布する希土類リン酸塩鉱物について報告する。希土類リン酸塩鉱物は分析した11地点のうち串,日ノ出松,石田,見借,竹木場の計5地点で確認された。大きさは10μm以下で,小さな晶洞部に丸みを帯びて産出しているものや,淵に沿って放射状の自形結晶で産するもの,他の石基鉱物中にインクルージョンのように産するものがあった。EPMAの結果から(REE0.92,Ca0.17,Fe0.04) (PO4)0.97・1.18H2Oが得られ,rhabdophane 理想化学式(REE(PO4)・H2O) であると推定される。産地によってREEの比率にばらつきがあり,Y,La,Ndそれぞれを最も多く含む3種があることが確認できた。