抄録
関東山地の三波川帯の三波川・鮎川エリアの南部ユニットから2試料、中部ユニットから1試料の砂質片岩よりジルコンを抽出し、広島大学のSHRIMP IIにて年代測定を行った。その結果は、全ての試料のジルコンの大部分が白亜紀の年代を示した。最も若いジルコンの年代は付加年代の上限を示していると考えられる。ジルコンの年代分布からは、砕屑物の主な供給源は、西南日本から大陸にかけて広く分布する白亜紀花崗岩類であると考えられる。また、南部ユニット2試料間では年代に有意な差は認められないが、中部ユニットの年代は南部ユニットに比べて明らかに若い。これは、同じ三波川帯の中でも付加年代の異なる複数のユニットの存在を示唆する。これらの結果は、少なくとも関東山地の三波川帯の原岩が白亜紀後期の付加帯であることを示している。