日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会 2007年度年会
セッションID: G4-15
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G4:深成岩及び変成岩
丹沢深成岩体の接触変成作用と定置深度
*井上 朋香有馬 眞
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抄録

大滝沢岩体,熊木沢岩体,畦ヶ丸岩体,およびユーシン岩体と丹沢層群の貫入境界で変成条件の解析を行った.貫入境界部からの距離と変成作用の関係を解析するために,境界部を基準として,距離を測定してサンプリングを行った. 変成条件の解析には,Holland and Blundy (1994) による普通角閃石-斜長石地質温度計,およびErnst and Liu (1998) によるCa-角閃石のAl2O3-TiO2地質温度・圧力計を用いた.貫入境界部に接する数cmまでの範囲に単斜輝石および斜方輝石が確認され,境界部では輝石ホルンフェルス相に達したことが明らかとなった.ユーシン岩体において、変成温度は貫入境界からの距離と明瞭な負の関係を示した.推定温度は、境界部で825℃,境界から1.5 mで750℃まで低下し,さらに80 m地点で680℃まで緩やかに低下した.距離によらず一定の変成圧力条件(約1.5 kb)が推定された.推定された定置深度は、約5 km(ユーシン岩体)、約5.5 km(大滝沢岩体)、約6 km(熊木沢岩体)であった.これはSuyehiro et al., (1996)による北部伊豆弧の地震波速度断面図から推測されるVp=6 km/s 中部地殻の深度と調和的である.

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© 2007 日本鉱物科学会
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