室戸岬斑れい岩体は,高知県室戸岬付近に位置するシル状の貫入岩体(層厚~220 m)である。今回、鏡下観察とEPMAによる組成累帯構造解析に基づき、本岩体のPl結晶を大きく2種類に分類した。1つ目は、結晶成長部(Host rock)に見られるもので、An-richで組成一定の自形コアを有し、コアからリムへAn量が連続的に減少するものである。このタイプのPlには、コア最外縁部によりAn-richな帯が認められる。Plと隣接するOlは、このコア縁部で接することが多い。2つ目は、結晶成長部に分布する斜長岩脈やUpper Zoneに見られるもので、An-richで組成一定のコアの外側に、Ab-richマントルが存在する。両者の境界は組成的に不連続である。また、コアは融食を受けている。こうした累帯構造の違いを、斜長岩マッシュ浮上モデル(Hoshide et al., 2006b)と関連づけて論ずる。