炭酸塩マグマは沈み込み帯で重要だろうか?DasguptaとHirschmannの実験では、部分融解度が小さい時は炭酸塩マグマとケイ酸塩マグマが不混和していたという。私達は炭酸塩マグマとケイ酸塩マグマの中間の化学組成を出発物質に彼らと同じ圧力、温度条件でマグマが2相いることを、放射光X線ラジオグラフィーの手法を用いて観察した。急冷生成物の分析結果はCaとMgはより炭酸塩マグマに濃集する。Al、Ti、Siはケイ酸塩マグマに濃集し、KとNaもどちらかというとケイ酸塩マグマに濃集する。従来、アルカリ元素は炭酸塩マグマの主成分元素であると考えられて来たが、私達が確認した不混和組成は、これまで典型的と考えられて来た炭酸塩マグマとケイ酸塩マグマの不混和組成とは異なる。この不混和化学組成の特徴が、マントルウェッジ内のマグマやフルイドの移動を考える際に、どういう意味を持つのか考えてみたい。