太陽系初期において衝突現象は普遍的であった。しかし、より始原的といわれる炭素質コンドライトのCAIの衝撃効果についてはほとんど知られていない。そこで、本研究では炭素質コンドライトの中でも熱変成をほとんど受けていないが大きな衝撃を受けたと考えられるエフレモフカCV3コンドライトのCAIに関する衝撃溶融脈を調べた。その結果、CAIはさまざまなプロセスによって溶融することが明らかになった。ショックステージ4程度の衝撃によって、大部分のマトリックスは溶融しないにもかかわらず、CAI中のMeliliteやAl-Diopsideは溶融することがわかった。また、それらの鉱物の衝撃溶融により、CaがAlよりも選択的に広範囲に移動することがわかった。つまり、CAIの衝撃による影響を知ることは、炭素質コンドライト母天体における衝撃溶融脈の形成、そして難揮発性元素の分別プロセスを解明する上で重要な手がかりを与えてくれる可能性があると考えられる。