太陽系内の塵は主に小惑星同士の衝突によって作られると考えられており,主小惑星帯外側に存在する小惑星の半数以上は含水タイプであることが赤外線観測からわかっている.また,非溶融で細粒タイプの南極産微隕石の約80%は含水鉱物を含んでいる.それゆえ,塵の成因を解明する上で,含水物質の衝突現象を理解することは極めて重要だと言える.
本研究では,含水鉱物の存在が塵形成に及した影響を解明することを目的として,比較的脱水温度の低い石膏を標的とした衝突破壊実験を行った.標的試料として二水石膏および無水石膏と半水石膏の混合物を用い,回収試料の鉱物・組織変化を調べた.また,衝突放出物質をアルミニウム箔に貫通させ,質量頻度分布を調べた.二水石膏および混合石膏の衝突放出物質の質量頻度分布は共に,Flynn et al. (2005)の緑色岩の衝突破壊実験に近いことがわかった.