植物の葉に含まれる結晶の検出には粉末 X 線回折が使われる。葉を無処理で乾燥、粉末化すると、体積的には大部分が植物体の破片で、これらは cellulose と opal からなり、膨大なバックグラウンドを与える。そこで、Cellulose によるバックグランドを軽減させるために遠心分離と酵素による cellulose の分解処理を試みた。何種類かのシダ植物について葉を洗浄、乾燥後、粉末化し、水に懸濁させ遠心分離を行った。結晶の濃縮部の分画を取り出し、酵素の cellulase 溶液に懸濁し数日間反応させ、分解物を除去した。遠心、分解処理を繰り返し最終の残渣を乾燥後、試料とした。ミドリヒメワラビの場合、無処理では回折ピークは見いだせなかったが、処理後は whewellite, weddellite の多くのピークが出現し、これらの処理が有効に働いたことが実証された。