日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本鉱物科学会2008年年会
セッションID: S2-09
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S2:岩石-水相互作用
長石溶解速度の飽和度依存性とCO2地中貯留への影響
*徂徠 正夫佐々木 宗建奥山 康子當舎 利行
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抄録

帯水層へのCO2貯留のリスク評価では、貯留岩鉱物の溶解速度が重要なパラメータとなる。本研究では、帯水層中で最も普遍的かつ難溶性の鉱物である長石について、溶解速度に及ぼす飽和度(ギブス自由エネルギー変化:ΔG)の効果を検証した。そのために、10MPa、50℃の種々の飽和度溶液中で反応させた灰長石結晶のへき開面について、位相シフト干渉計により、ナノスケールでの表面形状変化に基づいた溶解速度の計測を行った。その結果、溶解速度のΔG依存性の関数は、直線形よりもむしろシグモイド曲線に従うことが示された。一方、帯水層へのCO2地中貯留を模した数値シミュレーションからは、溶解速度の関数形の違いにより溶液組成の変化に顕著な違いが生じ、二次鉱物の生成速度にも影響が及ぼされる様子が示された。このことは、CO2挙動の予測においては、長石溶解速度の飽和度依存性の関数形が重要であることを意味している。

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© 2008 日本鉱物科学会
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