抄録
箱根火山周辺の根府川と宮下で掘削された深部坑井の試料を対象にX線回折法によって変質鉱物の組合せや深度分布を解析した.根府川坑井で検出された鉱物は,斜長石,カリ長石,かんらん石,石英,スメクタイト,緑泥石,イライト,緑簾石,沸石類(モルデナイト,アナルシム,ワイラカイト),方解石,黄鉄鉱である.また,宮下坑井で検出された鉱物は,スメクタイト,緑泥石,石英,斜長石,方解石,イライト,緑簾石,黄鉄鉱であり,沸石類が見られない.変質鉱物の組合せは深度とともに変化し,根府川坑井ではスメクタイト,膨潤性緑泥石,緑泥石,緑泥石+緑簾石+ワイラカイトと,また,宮下坑井ではスメクタイト,緑泥石,緑泥石+緑簾石と変化した.二つの坑井での変質の相違は主として二酸化炭素分圧が原因と考えられる.