抄録
エクロジャイトを母岩とするダイヤモンドの成因に制約を与えるため、南アフリカロバーツビクター鉱山から発見された明瞭な層状構造を呈するエクロジャイトに対する岩石学的・地球化学的研究を行った。本試料は8400カラット/トンに相当する高いダイヤモンド含有量を示し、その分布は母岩を構成するざくろ石と単斜輝石の相対比率の変化に認められる層状構造と強く相関していることが判明した。従って、ダイヤモンドの結晶化と母岩の形成の間において成因的関連性があるのか、すなわちダイヤモンドが“交代作用起源”もしくは“火成作用起源”なのかを決定できる可能性がある。本発表では(1)X線CT法による岩石の三次元マッピング、(2)EPMAによる鉱物化学組成マッピング、(3)FTIRによるダイヤモンドの窒素含有率―凝集率の測定、(4)ダイヤモンドの炭素同位体分析の結果を用い、母岩とダイヤモンドの形成・進化過程について議論する。