マリアナ前弧には、主に蛇紋岩化したカンラン岩からなる海山が多数分布する。本研究では、8つのドーム状のダイアピル海山と3つのホルストの断層崖から採取した岩石を調査した。採取されたカンラン岩の蛇紋石鉱物は、クリソタイル/リザダイトが卓越するが、海溝軸から最も遠く(約90km)に位置するコニカル、南チャモロ海山(ダイアピル海山)には、アンチゴライトを含むカンラン岩が認められ、それらは常に‘cleavable olivine’を含む。アンチゴライトは、Feに富む変成カンラン石、ディオプサイドの共生で特徴づけられ、クリソタイル/リザダイトを含む岩石よりも深部の高温条件下で蛇紋岩化作用を受けたことを示す。また、そのカンラン岩のアンチゴライトを含む鉱物組み合わせは、これらの海山直下の沈み込み境界(深さ約25-30km)において、安定であることを示すと同時に、クリソタイル/リザダイトの安定領域がより東側の浅い部分にあることを強く示唆する。