抄録
本研究では,五島列島福江島黒島火山産かんらん石玄武岩溶岩中のかんらん石におけるFeの酸化数と分布を検討した。調査した溶岩層の上下には,赤色化したアアクリンカーが見られるが,溶岩層自体は黒色で新鮮である。 かんらん石(斑晶)中のリム及び割れ目に沿って析出物が生成している。FeLβ線とFeLα線の強度比(木村・赤坂、1999),57Feメスバウアー分光法およびX線リートベルト法を用いてかんらん石におけるFeの酸化数とFeの分布を分析した。かんらん石のFo成分は74-80mol%,FeLβ/FeLα強度比によるFe2+とFe3+の割合は95-99 (3) : 5-1 (3) であった。X線リートベルト解析の結果,粉末試料はかんらん石の単相であり,M2とM1のFeの席占有率はそれぞれ0.183と0.134 apfuであった。したがって、このかんらん石のM2席には最高で0.01apfuのFe3+が含まれることが分かった。