抄録
新彊ウイグル自治区東部の哈密(Hami)の南約50km、石炭紀の背弧海盆に発達した断層沿いに位置する雅満蘇鉱床は、基本的には正マグマ性の鉄鉱床であるが、スカルン型鉱体も随伴する。このスカルン型鉱体から、複屈折を示すザクロ石を見出したので、鉱物学的検討を試みた。化学分析値から、ザクロ石はグロッシュラーーアンドラダイト系で、組成像および元素分布から、一つのグレインの組成は均一で、累帯構造は認められない。ザクロ石のd420、d444は、アンドラダイトおよびグロッシュラーのそれぞれのd値を結んだ線上にほぼプロットされるが、d400 は予想されるd値より高い値を示した。これまで複屈折は主に結晶化学的な、あるいは双晶が原因とされてきたが、本地域からのザクロ石は、結晶軸方向の長さの違いも複屈折の原因の一つである可能性を示唆した。