抄録
スラブの沈み込みにともない地球内部に運ばれる炭酸ガスの多くは堆積岩に含まれていると考えられる。本研究では堆積岩と、水と炭酸ガスからなる流体との間の混和・不混和現象を観察し、堆積岩質マグマと流体の臨界終端点に与える炭酸ガスの影響を理解することを目指した。これまでの実験により、本実験で使用した組成をもつ堆積物と水との間の、臨界終端点は2.6GPaと推定している。今回の実験の結果、堆積物組成のマグマと炭酸ガスを含む水にとむ流体との臨界終端点は2.2GPaであると推定する。これは炭酸ガスが入っていない同じ系のそれより1割以上低い圧力である。これまでSiO22-H2O-CO2系でメルトと流体の間の臨界終端点が発表されている(Boettcher, 1984 Am Mineral) が、それによると炭酸ガスが入ると臨界終端点は高圧側に移動する。私たちの堆積岩組成での実験結果はこれと反対の結果である。