メルト包有物のH2O–CO2濃度分析から,地殻のマグマには深部起源のCO2流体が供給され,相互作用を起こしていることがわかってきた.このCO2輸送現象は“CO2フラクシング(fluxing)”と呼ばれ,現在,多くの火山で普遍的に起きている可能性が示されつつある.しかし,その具体的なメカニズム(CO2流量・時間・流動様式など)はほとんど理解されていない.本研究では,CO2フラクシングをシンプルな反応輸送過程としてモデル化し,数値シミュレーションを行うことで,その基本的な性質を解明しようとした.その結果,トータルで流れたCO2流体の質量と再平衡化時間の間に一定の関係があることがわかった.これと天然のメルト包有物のデータを組み合わせることで,CO2流体の流れの様式に制約を与えることが可能で,たとえばエトナ火山では,CO2流速は10-4 m/s程度と見積もられる.