抄録
中央アフリカ共和国産の天然多結晶ダイヤモンド、カルボナドの2試料について、フォトルミネッセンス(PL)スペクトル分析と岩石組織観察を行った。今回、測定した2試料では、大きく異なるPLスペクトルパターンが得られた。試料Aは、3Hセンターがみられ、575nmのN-Vセンターを欠くのが特徴である。一方、試料BではH3センターと575nmのN-Vセンターが顕著に見られる。試料AおよびBは、Kagi et al. (1994, 2007)のグループAおよびBにそれぞれ相当する。これら2試料では、岩石組織的特徴も大きく異なる。例えば、試料Aでは比較的大きな空隙が至る所に分布するのに対し、試料Bではより大きな空隙が局在する。これらの観察事実に基づき、カルボナドの放射線被曝のメカニズムとタイミングについて議論する予定である。