抄録
CK隕石は炭素質コンドライトとしては例外的に強い熱・衝撃変成を受けている。CK隕石の鉱物学的特徴はその複雑な熱・衝撃履歴を反映していると考えられているが、詳細については明らかになっていない点が多い。本研究ではCK隕石の熱・衝撃履歴を解明することを目的に、強い熱変成を受けたLEW87009隕石の斜長石についてその鉱物学的特徴を調べた。LEW87009隕石中には大規模な衝撃溶融脈が存在し、その付近には斜長石ガラスが観察された。ガラス部分には、結晶部分に存在する割れ目が存在しないことなどから、斜長石ガラスは衝撃加熱により斜長石の一部が溶融・急冷して生じたと考えられる。LEW87009隕石はコンドリュールとマトリックスの組織的違いが認識できないほど熱変成が進行しているが、溶融脈付近の斜長石ガラスには熱変成による再結晶化が見られない。したがって、斜長石ガラスを形成した衝撃は熱変成が進行した後に起こり、その後、熱変成は起こらなかったと考えられる。