抄録
栗駒火山南麓周辺では,カルデラが密集しカルデラクラスターを形成しており,その周辺にはこれらカルデラ起源の火砕堆積物が広く分布している.これらのうち,新第三系の小野田層中の火砕堆積物は層序が未確定であり,年代値・岩石学的特徴も報告が少ない.本研究では,これらの層序・岩石学的特徴および新たに2試料の年代測定値を報告する.
小野田層中の火砕堆積物は下位より,湯浜凝灰岩,縮沢凝灰岩,鵙目凝灰岩,東昌寺沢凝灰岩である.湯浜凝灰岩,縮沢凝灰岩,東昌寺沢凝灰岩は,主に火砕流堆積物からなり,鵙目凝灰岩は下部の降下堆積物と上部の火砕流堆積物からなる.これらの凝灰岩は,IUGSによる分類に従うと,東昌寺沢凝灰岩はデイサイト,その他の凝灰岩は流紋岩に分類される.また,K-Ar年代測定結果として,縮沢凝灰岩について1.00±0.06Ma,東昌寺沢凝灰岩について0.87±0.21Maが得られた.