日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
セッションID: T8-02
会議情報
T8:モホ点描 – 超深部掘削計画で何がみえてくるのか?
モホール超深部掘削における孔内物性計測(ロギング)の重要性と手法改善-開発の必要性について
*冨永 雅子阿部 なつ江
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

国際海洋掘削計画では,表層浅部の海洋地殻掘削にも関わらず, コアの回収率が低く,回収される岩相も掘削しやすい相に偏る傾向があるという問題が指摘されてきた.実際にどのような岩相を掘削しているか把握するために,代替のアプローチが必要となる.その有力な候補が,石油掘削の現場で主に用いられている孔内計測の手法である(ボアホールロギング).国際海洋掘削計画では1989年から導入されてきた手法であるが,そのデータを最大限に生かして実際に海洋地殻の形成解明のサイエンスに発展させたのは,近年掘削されたODP Hole 801C, IODP Hole U1309D, 1256Dのみである.特に1256Dの結果は,超深部掘削においてロギングおよび坑内物性計測の重要性を明確にした.現時点のロギングツールは石油鉱区開発の環境設定を基準としており,モホール計画で使用するには地殻の岩相温度によってかなりの深度制限を受ける.他のエンジニアリングの開発推進と同時に,高温に耐えうるツールの開発と,それを実現する為の技術者と技術を鍛錬するテスト掘削航海が強く望まれる.

著者関連情報
© 2011 日本鉱物科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top