最近,我々はアメリカの放射光施設Advanced Photon Sourceにおいて,パリ-エジンバラ型高圧発生装置を用いた放射光X線測定と組み合わせた弾性波速度測定技術を開発している.パリ-エジンバラ型高圧発生装置の大きな利点は,水平方向に360°開口した設計にあり,その結果様々な放射光X線測定手法を組み合わせて用いることができる点である.例えば,高圧条件下におけるX線3次元トモグラフィー法により,試料内部の構造を高圧かつ変形条件下で直接観察することが可能である(Wang et al., 2005).最近,我々は高圧条件下においてX線トモグラフィー測定と弾性波速度測定を同時に測定することに成功しており(Kono et al., 2011),この技術を発展させることにより,流体を含む岩石を高温高圧条件下で変形させた状態での流体分布や弾性波速度の変化を直接観察することが可能になると期待される.本発表では,我々のグループで現在開発している放射光X線と組み合わせた弾性波速度測定技術を紹介し,これら技術の応用性について議論したい.