私たちは北部オマーンオフィオライト、ワジ・スクバにおいて硫化物に富むダナイトを発見した。そのダナイトはモホ遷移体中に産しており、磁鉄鉱‐硫化物複合粒子を約2体積%含んでいる。その複合粒子はピロータイトとペントランダイトの離溶部、磁鉄鉱、均質なピロータイトからなる。その離溶部はピロータイトとペントランダイトが複雑に入り組んだ組織を示しており、磁鉄鉱はそれらを切ったり、礫状に取り込んだような組織を示す。 離溶部の組織は低温において単硫化物固溶体が二相に分離して形成されたと考えられる。磁鉄鉱‐硫化物複合粒子はマグマから分離した磁鉄鉱‐硫化物メルトが固結し、磁鉄鉱が変形により割れた単硫化物固溶体の間を満たすことで形成されたと考えられる。磁鉄鉱は周囲のスピネルには付加されておらず、後から磁鉄鉱が硫化物複合粒子に付加された可能性を否定している。