日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
セッションID: T8-P05
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T8:モホ点描 – 超深部掘削計画で何がみえてくるのか?
リザード・オフィオライトにおける非調和性ダナイトの成因
*高野 翔平荒井 章司田村 明弘
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抄録

我々はリザード・オフィオライトのマントルセクションにおいてマントルかんらん岩の面構造を切るように形成されたダナイト(非調和性ダナイト)を発見した。このダナイトは強く蛇紋岩化しているが,稀にかんらん石が残存している。また,鏡下において二相(黒色,および濃緑色)に分離したスピネルが存在し,これらは単一の粒子中で共存している。黒色のスピネルは高いTiO2含有量とFe3+比を有し,濃緑色のスピネルは低いCr#,TiO2含有量,Fe3+比を有している。これらのスピネルの初生的な組成はCr#=0.5~0.6,Fe3+比=0.4~0.5,TiO2値=3.0~4.5wt%を示す。また,かんらん石のFo値(Fo82~85)はマントルかんらん岩中のそれよりも低い値(Fo89~92)と推定される。非調和性ダナイトはFeやTiに富み,かんらん石成分に富む,例えばフェロピクライトの活動により形成されたと考えられる。二相分離したスピネルはメルト/壁岩相互反応が進み,よりFeやTiに富んだメルトから晶出したと考えられる。

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