本研究では、IOA型鉱床としてカナダのBenjamin Riverアパタイト-普通輝石-磁鉄鉱鉱床を研究対象とし、REE鉱物の形成過程の解明を目的に研究を行った。全岩化学分析と粉末X線解析の結果、Benjamin River鉱床の岩石は、アパタイト-普通輝石-磁鉄鉱鉱石、普通輝石を主成分とする斑レイ岩質ペグマタイト、アルバイトを主成分とする長石斑岩の3つにわけられることが判明した。全岩分析の結果、REEとP、Caの含有量の間に正の相関があることが明らかとなった。これは、アパタイトの結晶化とREEの濃集の間に関係があることを示唆する。アパタイト中のREE含有量とF/Cl比をプロットしたところ、アパタイト-普通輝石-磁鉄鉱鉱石と斑レイ岩質ペグマタイト中のアパタイトは、それぞれ、近い位置にプロットされる。本研究のアパタイトの特徴から、Benjamin river鉱床のアパタイト-普通輝石-磁鉄鉱鉱石の形成には、斑レイ岩ペグマタイトのようなCaに富む苦鉄質岩石が関係していると考えられる。