日本鉱物科学会年会講演要旨集
日本地質学会第118年学術大会・日本鉱物科学会2011年年会合同学術大会
セッションID: R1-15
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R1:鉱物記載・分析評価
日本の新第三紀花崗岩の熱水流体の組成と挙動
*黒澤 正紀Shin Ki-Cheol笹 公和石井 聡
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抄録

島弧の花崗岩起源流体の組成と挙動の解明のため、代表的な中新世花崗岩の甲府岩体と対馬岩体の晶洞・熱水石英脈と周辺鉱脈の石英に含まれる流体包有物を粒子線励起X線分析法で分析した。晶洞の包有物から推定した初生流体の遷移金属元素濃度は、甲府岩体で数十〜数百ppmなのに対し,対馬岩体は数百〜数万ppmで濃度が1桁以上高い。これは甲府岩体の初生流体が基本的に沸騰条件にない所で発生したのに対し、対馬岩体の初生流体が沸騰条件で発生したため,沸騰により金属元素が多量に高塩濃度水に分配された結果と推定できる。金属鉱床形成に密接な多相包有物の元素濃度を、斑岩同鉱床・熱水性金属鉱床など大陸の世界的規模鉱床と比較すると,甲府・対馬の鉱脈は大陸よりKとRb濃度は少ないものの、他はほぼ同程度の濃度であった。Cu・Pb・Zn濃度は、甲府岩体が対馬や大陸地域鉱床より少ない。

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© 2011 日本鉱物科学会
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