群馬県沼田市の採石場からは緑鉛鉱、ミメット鉱、バナジン鉛鉱などの鉛の燐灰石グループ鉱物がみられ、それらに伴い燐ヘディフェンと思われる鉱物、デクロワゾー石、などが観察された。斑糲岩の変質部分に自形結晶または皮殻状で産する。本産地では金属の硫化鉱物はほとんど見られない。燐ヘディフェンはチリのCapitana 鉱山産のものが2006に新鉱物として定義され同時に世界中のCaを含む緑鉛鉱が研究され同定された(Kampfら:Amer.Mineral.91)。燐灰石グループ鉱物の結晶構造には大きな陽イオンサイトM1とM2が存在し、燐ヘディフェンおよびヘディフェンではPbは選択的にM2へ、CaはM1へ入る傾向があるため、Caを含む緑鉛鉱では化学組成でCa/(Ca+Pb)が0.2から0.7までを燐ヘディフェンと考えることができる。 本産地における緑鉛鉱の化学分析結果において、一部にCa/(Ca+Pb)=0.34程度のものがあり燐ヘディフェンと考えられるものが確認されている。Kampfらの研究において本邦産の燐ヘディフェンは確認されていない。 今回の発表では、これら鉛を主成分とする燐灰石グループ鉱物の産状や化学組成をまとめそれらの分布や組成に関し考察する。