抄録
地球温暖化対策としてのCCSでは,分離・回収したCO2を塩水に満たされた深部帯水層に貯留する手法が有力になっている.ここで地下に貯留されたCO2は,長期的には周囲の岩石と反応して何らかの炭酸塩鉱物として固定されると考えられ,なかでもドーソン石(Na-Al含水炭酸塩)は化学的特長から鉱物固定種として注目されている.しかしこの鉱物が地質学的長期にわたってCO2を固定しうるかは,まだ確定的ではない.本研究では,東京湾岸の地下構造をモデルとした塩水帯水層貯留地化学シミュレーション(戸高ほか,2009)の延長として,ドーソン石を沈殿させる化学的条件を再検討した.その結果,戸高ほか(2009)が指摘したfco2に加え,Alを含む溶存種がドーソン石の形成には重要であることが判明した.