本研究では、秋田駒ヶ岳火山主成層火山体の東部地域を構成する噴出物の分布と層序を明確にし、マグマ供給系の変遷を検討する。当該地域の噴出物は、20噴出物及び1岩脈に区分でき、これらは南北いずれかの推定噴出口より噴出したと考えられる。また噴出時期、岩石の岩質の類似、近縁性より、南部由来噴出物は2グループ、北部由来噴出物は5グループに集約できる。岩石記載・全岩組成の結果を加え、以下のようなマグマの変遷を考察した。初期、南北の両推定噴出口からソレアイト質のlow-K玄武岩~玄武岩質安山岩マグマが噴出した。ただし、後半には鉄の濃集が弱い組成変化も,南部で認められた。中期には、北部のより初期とK₂Oレベルの異なる(medium-K)カルクアルカリ安山岩マグマの噴出が起こった。後期には、北部よりソレアイト質玄武岩マグマが再び噴出されるようになり、その後ソレアイト質玄武岩とカルクアルカリ安山岩の中間的特徴を有するマグマが噴出した。